「休眠口座」を知っていますか?
土壇場で地中海の島国・キプロスに対するユーロ圏の支援がまとまりました。結局、全ての預金に対する課税は回避されたとはいえ、10万ユーロを超える預金に関しては、最大で4割が削減される見通しです。政治の失敗のつけを国民が払わされる教訓として、他山の石としなくてはなりません。
ある日突然、自分の預金が政府に差し押さえられてしまったら怒り心頭だと思いますが、実はこれと似た事の検討が、日本でも既に始まっています。と言っても、私たちの大切な生活資金や貯蓄を取り上げられてしまうという話ではありません。
皆さんは、「休眠口座」という言葉をご存知でしょうか?預金口座に入ったまま、およそ10年以上放置されている預金の事を指します。小額の場合がほとんどですが、預け入れたこと自体忘れているケースもあれば、数万円の残高に対して、全ての法定相続人の同意を取り付けるのが面倒で放置されるケースなど、様々あります。
この「休眠口座」の中に眠る資金は、そのまま放置し続けると、日本では銀行の収入となってしまいます。そこで今、この資金を何とか社会保障などの財源として活用できないか、検討が始まっています。既にイギリスや韓国では制度としての運用が始まっています。
私もかつて、銀行マンとして働いていたので、「休眠口座」の存在は知っていました。お金を預かる銀行としても、普通預金に寝かせたままにせずに、何とか運用や投資に回して頂けないか、よく営業会議の話題となっていました。しかしながら、その額が毎年新たに800億円規模で発生しているとは、つい最近まで知りませんでした。
ちりも積もれば山となる。国家財政の規模と比べれば小さな額かもしれませんが、このまま眠らせておく手はありません。私は、預金者の権利保護に十分配慮しながら、教育や社会保障制度など、日本の安心・安全の再構築に活用すべきと考えます。