TPP総合対策本部が検討開始
農業などの影響踏まえ、提言策定へ
公明党TPP総合対策本部(本部長=石田祝稔政務調査会長)は28日、衆院第2議員会館で初会合を開き、大筋合意したTPP(環太平洋連携協定)に関する国内対策の検討を開始し、党としての提言を11月中旬までに取りまとめ、政府に申し入れることを確認した。
席上、総合本部長の井上義久幹事長は、TPPの意義について「今後、世界の成長を取り入れていく意味で非常に重要だ」とした上で、「国内の各業種に対する影響も踏まえて十分な対策を講じなければならない」と強調。特に、農業分野に関しては、コメなど重要5項目に関する国会決議を踏まえ、「重要品目について、きちんと国内で再生産できる仕組みをつくり、農業者が安心できるよう対策を組みたい」と述べた。
石田本部長は、党としての国内対策の提言について、「11月16日からの週に取りまとめたい」として、政務調査会の各部会などで対策の検討を進める方針を示した。
会合では、政府側から、内閣府の高木宏壽大臣政務官があいさつし、「11月下旬をめどに政府の政策大綱を与党の意見を十分に踏まえて取りまとめたい」と表明。渋谷和久内閣審議官らが大筋合意の内容や国内対策に関する政府の基本方針を説明し、意見交換した。
この中で公明党側は、大筋合意に盛り込まれた米国向け牛肉の無税枠創設に関して、検疫体制や加工施設の充実など総合的な輸出促進策の必要性を指摘。日本に輸入される野菜や果物の多くで関税撤廃となることには、国別輸入実績を踏まえた影響の見通しや、TPP域外からの輸入関税は変わらないことを丁寧に説明し、生産者の不安払拭に努めるよう求めた。
さらに、公明党側は、TPPに関して不安の声が上がっているテーマに関する説明を要求。
政府側は「食の安全」や「国民皆保険」について、「わが国の制度を変えなければならない規定は一切、入っていない」とした。また、大筋合意に盛り込まれた「故意による著作権侵害の非親告罪化」には、原著作物の市場での収益性(売れ行きなど)に大きな影響を与えない場合は対象外だとして、愛好家がアニメなどのキャラクターを使った同人誌を発行することは妨げられないと説明した。(2015/10/29公明新聞)