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2019.5.25

『力強い賃上げの実現に向けて』

こんにちは。平木だいさくです。

今週、公明党は提言『成長戦略2019』を政府に申し入れました。

冒頭に掲げたのは、最低賃金の引き上げ。

少し長いのですが、該当部分をそのまま引用したいと思います。

「年率3%以上を目途として着実に引き上げ、2020年代前半には全国加重平均で1,000円超に引き上げるとともに、2020年代半ばには47都道府県の半数以上で1,000円以上へと引き上げ、地域間格差を是正する。」

引き上げのペースや、達成の時期なども明示した“踏み込んだ”提言となったことから、テレビの経済ニュースなどでも大きく取り上げられることとなりました。

実は、私個人としては、もっと大胆に上げた方がよいと考えていますが、「年率3%以上」という最低線を示したことの意義はやはり大きいと思います。

ところで、ここまで読まれた方の中には、そもそも最低賃金の引き上げって成長戦略なの?と疑問に思われた方もいらっしゃると思います。

最低賃金と言えば、社会(保障)政策のイメージが強いかもしれません。

しかし近年、世界では最低賃金を経済政策のツールとして、積極的に活用する事例が増えているのです。

きっかけは英国の成功です。

1999年に英国が最低賃金制度を導入し、以後20年にわたって積極的に引き上げ続ける中で、経済に様々なプラスの効果があることがわかってきました。

徹底的な検証の結果、主流の経済学では“常識”とされてきた「最低賃金の引き上げは、雇用に悪影響を及ぼす」といった主張が必ずしもあてはまらないだけではなく、実は女性や若者、高齢者などが新しい賃金水準に刺激を受けて働き出すことで、労働市場の拡大に繋がる可能性も見えてきました。

因みに、イギリスは今まで20年にわたり、年平均4.17%の引き上げを実現。

最も大きな引き上げ率は2001年から2002年の10.81%、年7%の引き上げも3回行っていますが、いずれも雇用への悪影響は出ていません。

こうした実証をもとに、今では欧州を中心に経済政策としての最低賃金の引き上げが定着しつつあります。

もちろん、“強気一辺倒”で引き上げれば上手くいくほど、簡単な話ではありません。

失敗してしまったのは、昨年の韓国です。

最低賃金を一気に16%も引き上げた結果、多くの失業者を生み出してしまいました。

あたり前のことですが、経済の実情に合わせて、他の政策とも連動させながら、戦略的に引き上げていくことが欠かせません。

公明党の提言以来、政府内でも最低賃金の引き上げ幅をめぐる議論が、にわかに活発になってきました。

「総合的な判断」として、ブラックボックスの中で決められてきた最低賃金について、閣僚が「今年は5%」「いやいや3%がちょうど良い」などとオープンに見解をぶつけ合うようになったのは、大きな前進と言えます。

自公連立政権の発足以来、政策総動員でデフレからの脱却に取り組んできましたが、最後の難題として残ったのが賃金です。

いくらマクロの経済指標が良くても、各人の賃金に反映されなければ、景気回復の実感を持つことはできません。

これまで所得拡大税制など、賃上げのインセンティブとなる政策も展開してきましたが、残念なことに、企業の中に内部留保が貯まる一方で、賃金水準は低空飛行が続いてきました。

改めて、強い決意をもって、賃上げに取り組まなければなりません。

今回、公明党が提示した、具体的な最低賃金引き上げのスケジュールは、その狼煙に他なりません。

強い強制力を伴う政策であることから、産業界からは早くも反発の声も聞こえてきています。

しかし、人口減少社会において、『人材』という希少な資源の受け皿となる産業界には、人件費をコストとしか見ない価値観を改め、人が活き、事業が大きく成長できる経営へと、一刻も早く舵をきって下さることを願ってやみません。

私たちの提言には、以下のような一文が続きます。

「最低賃金引き上げの影響を強く受ける中小・小規模事業者に対し、生産性向上のための設備投資等の支援を一層強化する。」

これからも、事業の成長と力強い賃上げに向けた挑戦を、全力で支援してまいります。