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2024.3.2

東日本大震災13年 福島復興やり遂げる

東日本大震災からまもなく13年。公明党の山口那津男代表は2日、福島県入りし、日本原子力研究開発機構・楢葉遠隔技術開発センター(楢葉町)や義務教育学校「学び舎ゆめの森」(大熊町)、福島国際研究教育機構(浪江町)を視察し、復興の現状や課題を調査するとともに関係者と意見を交換した。また、党福島県本部(代表=今井久敏県議)の復興加速化会議に出席し「国会議員と市町村議員のネットワークで被災者に寄り添い続け、『人間の復興』を成し遂げていこう」と呼び掛けた。

山口代表らは、大熊町立の義務教育学校・認定こども園「学び舎ゆめの森」を視察し、南郷市兵校長・園長、吉田淳町長らと意見交換した。

同校は、東京電力福島第1原発事故に伴い、避難していた会津若松市から昨年4月、大熊町に戻り、同9月から新校舎で授業を行っている。

南郷校長は「読書の町・大熊」の伝統を引き継ぎ、子どもたちが本に親しめるよう館内各所に本棚を設置し、2万冊の図書を並べていることを説明。「ICT(情報通信技術)も活用し、子どもたち一人一人にとって最適な学びを提供したり、表現と協働、創造性を磨くため演劇教育に力を入れている」と話した。

また、同町の就学者総数1109人のうち同校で39人の園児、児童生徒が学んでいる状況を紹介。「会津若松市にあった町立学校の児童生徒数は10人だったが、町への住民帰還や移住が進み、子どもたちが増えている」と述べ、同校が移住を促し、町に活力をもたらしていると力説した。

さらに「福島国際研究教育機構(F―REI)と連携し、地元から福島イノベーション・コースト構想を推進し、未来を創造する人材を育てたい」との展望を示し「長期的な復興の基盤は人材の育成だ」と強調。第2期復興・創生期間(2021~25年度)以降も、教員の加配やスクールカウンセラーの派遣など支援の継続を求めた。

山口代表は「硬直しがちな学校教育を打ち破り、地域や社会を担う子どもたちを育むユニークな取り組みに大いに期待している。しっかり後押ししたい」と語った。

一方、山口代表らは、楢葉町で東京電力福島第1原発の廃炉に向けた実証試験を行う日本原子力研究開発機構(JAEA)の楢葉遠隔技術開発センターを視察した。

一行は大井貴夫センター長らから同原発で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を取り出す準備工程などの説明を受けた後、原子炉建屋内の環境を再現し、作業内容の確認や訓練を行えるVR(仮想現実)システムを体験。ロボットアームを用いた燃料デブリ取り出しの実規模試験やドローン模擬飛行、4足歩行ロボットの走行試験を見て回った。

大井センター長は「炉内は放射線量が極めて高く、人間が入る作業が難しい。ロボットの研究開発を進めるとともに、操作する作業員のスキルアップに努める」と強調。山口代表は「ここでの取り組みが廃炉技術の革新につながることを期待したい」と述べた。

その後、一行は浪江町の福島国際研究教育機構を訪れ、木村直人理事らと懇談。福島イノベーション・コースト構想の司令塔としてロボットやエネルギーなど5分野の研究体制を構築し、世界水準の社会実装・産業化をめざすことなど話し合った。

山口代表らは福島県庁で内堀雅雄知事と懇談した。内堀知事は「公明党は、福島国際研究教育機構の設立を始め、イノベーション・コースト構想の具現化へ懸命に取り組み、13年に及び福島に寄り添い続けてくれた」と謝意を表明。

東京電力福島第1原発事故の避難地域の復興・再生へ「帰還困難区域全ての避難指示解除に向け、最後まで国が責任を持って取り組んでほしい」と話した。さらに「福島の復興への道のりは長い。第2期復興・創生期間が終了した後も、復興財源の確保をお願いしたい」と求めた。

山口代表は「財源確保にしっかり取り組み、党として福島の復興へ総力を挙げる」と語った。

党復興加速化会議で山口代表は、福島県内3カ所を視察したことに触れ「着実に復興の足跡がしるされていると実感した」と強調した。

その上で、2021年度からの「第2期復興・創生期間」が残り2年となることを踏まえ「ここから2年が正念場だ。取り組むべき課題を一歩一歩、前進させていきたい」と訴えた。

具体的には「地域によって差がある復興の進ちょく状況をよく見極め、実情に合った対応が必要だ」と指摘。特に、住民の帰還を巡る課題では「帰還の希望を持っている住民が一刻も早く帰還できるよう整えていくのが政治の志でなければならない」と力説した。

■被災地の声、政府提言に反映
福島復興に向けた政府の方針に関しては「計画をどう見直し、次の希望を生み出していくか。残された課題を明確にしていきたい」と述べ、自民、公明両党が近く政府に提出する予定の「復興加速化のための第12次提言」に被災地の意見や要望を反映させる考えを示した。

会合には、井上義久・党常任顧問、党アドバイザーの浜田昌良・元参院議員、若松謙維・党県常任顧問(参院議員)、平木大作復興副大臣(公明党)らが出席。浪江町の吉田栄光町長、双葉町の伊沢史朗町長、大熊町の吉田淳町長、富岡町の山本育男町長、南相馬市の門馬和夫市長らから、今後の復興に向けた課題や要望を聴いた。