
【手記】核禁条約会議に参加して
日本が核軍縮の推進役に
私は今月3~7日に米ニューヨークの国連本部で開かれた核兵器禁止条約の第3回締約国会議に、公明党を代表して参加しました。日本政府がオブザーバー参加を見送る中、日本が核保有国と非保有国との「橋渡し役」をどう担うかや、核軍縮に貢献できる分野を探るため、4日間の活動を行いました。
同条約の採択・発効が市民社会の草の根の活動に淵源を持つことから、現地では各国の政府関係者や政治家だけでなく、NGO、有識者、若者のグループ、被爆者など多様な人々が集い合い、「核兵器のない世界」の実現へ熱心に議論が繰り広げられました。
特に印象的だったのは、南太平洋の仏領ポリネシアの国会議員で、核実験の被爆者でもあるヒナメラ・クロスさんとの出会いです。クロスさんは白血病を患い、闘病されながらも核被害者支援に力を注いでおり、今年2月に広島と長崎を訪れた際の思いをこう語ってくれました。「広島と長崎は壮絶な被爆の体験を平和のメッセージへと昇華させている。すごいことだ」。クロスさんとの対話を通じ、私は改めて核なき世界へ日本がリーダーシップを発揮することがいかに重要かを実感できました。
保有国側の「歩み寄り」重要
世界は今、時代の大きな転換点に差し掛かっています。参加者からは、核兵器が再び使われてしまうかもしれないといった危機感が幾度となく語られ、核不拡散条約(NPT)が機能不全に陥ってしまうのではないかとの懸念が相次いで表明されました。
眼前の危機を乗り越え、新時代の核管理・軍縮の枠組みを構築していくには、核保有国側からの「歩み寄り」を促すことが重要です。
このため私は「国会議員会合」で、核軍縮に関する過去の国際合意や共同声明に立ち返り、核保有国と非保有国の間で共通認識を確認し合う必要性を強調。来年のNPT運用検討会議で、非保有国に核攻撃や威嚇をしない「消極的安全保障」の強化を検討課題とするよう提案しました。
帰国後に石破茂首相に報告した際には、熱心に耳を傾けていただき、核軍縮への思いを共有しました。激動の国際社会にあって、日本が平和構築の推進役となれるよう、政権与党である公明党の一員として、私自身、しっかりと働いていく決意です。(3月21日付公明新聞)