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2013.11.30

『「特定秘密保護法案」議論の現場から』

こんにちは。平木だいさくです。

私がシティバンクに入社して、新入社員研修を受けていたときの話です。ニューヨークの本社から幹部が来日して、話してくれました。

今日は君たちに2つのことを話したい。 まず一つめは「Read Nikkei(日経新聞を読みなさい)」 そしてもう一つ。「Do not believe Nikkei(日経新聞を信じてはいけない)」

バンカーとして新聞はしっかり読まなくてはいけない。でも、新聞に書いてあることを鵜呑みにしてはいけない。最後は自分の頭で、何が本質なのか考えながら読む心構えについて語ってくれたものです。

銀行員時代、この教訓を実感する機会は幾度もありましたが、国政に舞台を移してますます増えました。自身が日々向き合う政治の現場と、新聞やテレビで報道されることの間には大きなギャップがあるためです。

今、世間の耳目を賑わせている「特定秘密保護法案」についても同様です。この法案では、我が国の安全保障に関する情報のうち、国家の存亡や国民の生命・財産を守るために必要な、①防衛、②外交、③特定有害活動(スパイ活動)の防止、④テロリズムの防止、の4分野に関する「特定秘密」に指定された重要情報を漏らした場合、最長で懲役10年の厳罰に処すことを定めています。

最大の争点は「特定秘密」を保護して国民の安全を守ることと、国民の「知る権利」「報道の自由」を守るためのバランスをどうとるのか。

過度な情報の保護は政治のプロセスを不透明にしますし、真実に迫ろうとするジャーナリストが逮捕される懸念が当初から指摘されていました。また、政権の延命のために不都合な情報を隠そうとする「乱用」の怖れもあります。

公明党は本法案の準備段階から、マスコミや有識者などを交えて徹底的に議論を行い、取材を処罰の対象としないことや、秘密を指定する際のルール作りにおける第三者機関の関与などを主張し、成果を勝ち取ってきました。

しかしながら、報道ではこうした問題の核心に踏み込んで考察することもなく、刺激的な見出しと国会運営のごたごたを取り上げて、世間の不安をあおっているようにしか見えません。

近年、日本を取り巻く安全保障環境が緊張の度を増しています。今春、北朝鮮が日本に向けて中距離弾道ミサイルの発射寸前までいった事態は記憶に新しいところです。

また、国際化の中で日本人や日本企業が海外でテロや事件に巻き込まれた際、どうやって守るのかも重要な政治課題となってきています。今年1月にアルジェリアで起きた邦人人質事件においては犠牲者も出してしまいました。

両事件において、最も信頼性の高い情報を官邸にもたらしたのは、外務省でも、防衛省でもなく、アメリカを中心とした日本の同盟国でした。

情報通信技術が急速に進歩し、一度情報が漏れると収集がつかなくなる環境の中、諸外国と重要な情報を共有するためには、日本国内の法整備と情報管理体制の再構築が必要です。

今週、本法案が衆議院での議決を経て、参議院に送られてきました。あらためて慎重で丁寧な議論を尽くしたいと思います。

国会の閉幕を間近に控え、私もこの法案について質問に立つ可能性が出てきました。公明党がある限り、野党が言うような「治安維持法」を復活させることは断じてありません。

与党だからと遠慮することなく、どこまでも鋭敏な批判精神をもって、精緻な議論を繰り広げて参ります!

国会閉幕まで最後の一週間、頑張ります!