『開発援助にいきる中小企業の力』
こんにちは。平木だいさくです。
広島市北部を襲った大規模な土砂災害は、多くの方の尊い命を奪い、いまだ行方不明者の捜索が続く大惨事となりました。
亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた多くの皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。政府には引き続き懸命な救出・救助活動をお願いしたいと思います。
私は今、参議院からの派遣で、フィリピン、ベトナム、モルジブ、カンボジアの4カ国を政府開発援助(ODA)の実施状況調査と効果検証に歩いています。
これまで様々な国や地域を訪れてきましたが、10日間で13回も飛行機を乗り継ぐのは初めての経験。なかにはボートを使って行く場所も…。
かなりの強行日程ですが、残すところあと半分。日本外交の重要なカードであるODAの効果・効率を一層高めるためにも、充実の調査にしたいと思います。
本年は、途上国支援を始めてからちょうど60年の節目の年となり、政府も年末を目処に支援の新たな方針(「新ODA大綱」)を作る予定です。
この新方針の議論の中で、私が今最も注目しているのが、日本の中小企業がもつ技術の活用です。
従来の政府開発援助では、民間企業との連携と言えば、空港や道路、鉄道建設ができるような“誰もが知っている”大企業がほとんどでした。
しかし、日本には規模は小さくとも、世界に通用する技術をもつ企業が沢山あります。
こうした“小さくともキラリと光る”企業の力を活用しないのは、いかにももったいない話ですよね。
そこで最近では、こうした中小企業と協力して行う開発援助が試験的に始まっており、今回の出張の中でも、早速一カ所視察を行うことができました。
訪れたのは、ベトナムのハノイ郊外で行われている、ガソリンスタンドの地下タンク製造技術の移転プロジェクト。
モータリゼーションが急速に進むベトナムでは、今後全土にガソリンスタンドの整備が行われる見込みです。
ところが、現在普及しているのは、コンクリート製の一層タンクであるため、劣化するとガソリンが漏れだし、土壌が汚染される危険性が指摘されています。
そこでこのプロジェクトでは、政府開発援助の枠組みの中で、環境性能の高い繊維強化プラスチックを吹き付けた二重タンクを、ベトナムに普及できないか取組んでいます。
技術移転に取組んで下さっているのは、金沢市に本社をおく中堅企業。
この会社は、福島第一原発事故においても、汚染水を一時保管するタンクを270本受注するなど、漏洩防止・検知技術力の高さは折り紙付きです。
技術移転だけであればこの会社だけでも可能ですが、普及のためには、タンク設置に関する法整備や、給油事業者への環境意識の啓蒙など、官民一体の取組みが不可欠です。
まだまだ超えなければいけないハードルは多いのですが、他の案件も含めて、帰国後もしっかりとフォローを行い、1つでも多くの成功事例を作っていきたいと思います。
このように、政府開発援助は、相手国の発展や環境保全に貢献しながら、日本の中小企業の世界展開も支援するという、双方がメリットを得ることができる重要なミッションです。
体力勝負の調査ですが、残りの期間も現場を駆け回って、元気一杯に帰国したいと思います。頑張ります!